食に関心がある人はチーターです。

食に関心があるか無いかって、人生においてすげぇ重要じゃないですか?

 

 

 

美味しい店を知ってるだけで、人と会う口実ができるじゃないですか。誘い文句にもなればあれですよ、同じ釜の飯を食ったなんちゃらってやつで親交も深くなるじゃないですか。そうやって人と人のつながりが出来てくんでしょ? 食に関心があるっていうだけで。そんなんチートやん。チーターやん。決めたわ、食に関心ある人みんな、人生という名のゲームのチータと呼んでやる。

 

というのもね、僕すごいバカ舌なんですよ。なんで食へのこだわりみたいなのがホントにない。「何食べたい?」って聞かれることあるじゃないですか。たいてい何でもいいんですよ。不味くなくて、それなりにお腹を満たせれば満足なんですよ。

 

だからこの質問に上手く答えられたことないですよね。算数で言ったら足し算とか引き算とかの計算方法全然習ってないのに、「この計算式解け」って言われてるみたいなもんなんですよね。でも答えないわけにもいかないから、それっぽい答えを当てはめてるだけなんですよね。ここ数年「和食」以外に当てはめたことないな。一番それっぽいじゃん。和食。

 

前にね、兄が帰省して来たことに親が張り切っちゃって、「お寿司を食べに行こう」ってなったんですよ。でもね、我が家ってこういう時って大体なんやかんやあって「お寿司もあるファミレス」的なところに行くんですよ。もはや回転寿司ですらないなんてことはデフォなんですよ。

 

 

 

だけど、この時だけは張り切り具合が本物だったらしくて。

 

市内で有名なお寿司屋に行ったんですよ。

 

 

 

回転しない寿司を家族と食べるのは初めてでしたね、もちろんファミレス的なところを除いてね。さすがにちょっとわくわくしたんですよ。いくら食のこだわりの無い僕とはいえ、いいところのお寿司なら流石に心動かされるだろうと。美味しいものを食べることで喜びを感じることが出来るだろうと。

 

 

 

で。

 

 

 

予約とかしてなかったけど、お昼時にお寿司屋に行ったら運良く入れまして。お寿司を頼んだわけです。それ以外何を頼むんだって話ですけど、海鮮丼とかもあったからね一応。いつもなら丼もので量稼ぎたいところを、目的がブレてはいけないと思って。俺は今日、寿司を、いつも食べるものとは違う寿司を食うんだと。そういう思いで頼んだんです。

 

待ってる間、やっぱり久しぶりに帰ってきた兄と話がしたいらしくて、親が話を振るんですよ。でもそっけなく返されたりして、盛り上がることないんです。そこで僕がいろいろ気を利かす、なんてことも無いんで「はやくお寿司来ないかなー」ってずっと思ってたんです。

 

そう思っちゃうと待つの長く感じますよね。意味もなくテーブルの木目とかの本数数えたりしてたんですけどね。30くらい数えたところで飽きたらお寿司来ました。さすがのタイミング。やっぱ名店は違うな。

 

 

 

寿司10巻くらいですかね。盛り合わせ? 握り合わせ? よく分かんないですけどとりあえず色んなネタで10巻ね。何とか焼きとか言われてそうな焼き物のお皿に乗って来たんです。見た目が渋い。なんか風格あるんじゃない…?  もしかしてこれ、美味しいお寿司なんじゃない? とか思いながら、期待を込めてしょっぱなからマグロを食べてみたんですよ。

 

 

 

分かんなかったんですよ。

 

 

 

プチパニックですよね。もう値段からもこのお寿司屋の知名度的にも、いいお寿司なのは確かなんですよ。いつも食べてるマグロのお寿司と色々と違うのも、何となくではわかるんですよ。でも、いつもよりも美味しいのかどうかが分かんなかったんです。

 

あまりにも庶民寿司に慣れすぎたのか、本物の寿司のクオリティに舌のアップデートが追い付かなかったんです。あれですよ。今までになかったことをやろうとする人とかって、絶対最初は受け入れられなかったりするじゃないですか。あれに似た感覚。もしくはこのお寿司が僕の下にとってオーバーテクノロジーだった。たとえ下手かよ。

 

でもここでね、素直に分からないとは言えないわけです。この味を分からないってことが恥ずかしいことだと思ってるし、我が家の隣も家族連れらしくて、小学生ぐらいの男の子がうずうずしながらお寿司を待ってたんですよ。それを台無しにするようなこと言えないじゃないですか。だからネガティブなことだけは言わないでおこうと。

 

 

 

そんな思いも虚しく、父が言うんですよ。

 

「量が足りない」って。

 

 

 

そしたら兄がそれに対して「こーいうのは酒とちびちびやるもんだ」と、それっぽいけどなんか疑わしいこと言い出して、でも腹が満たされないことに父は納得しなくて、しまいには母が食べてた海鮮丼を分けてもらってたんです。おい野郎どもと。おまんらには隣の小学生の男の子が見えんのかと。この子、来た時からはしゃぎだすくらいお寿司にテンション上がってたやろと。俺が小学生の時にはこんなところ、連れてきてもらった覚えないんやぞ。だから今出会ったオーバーテクノロジーに困惑してるんやぞと。

 

せめて隣の男の子には、期待を削がせるような言葉を聞かせないようにという俺の気遣いを台無しにするなよ、と思ったのとほぼ同時くらいに「あ、我が家がもろとも庶民舌なんだな」と気付きました。そりゃ俺もよく分かんないよね。遺伝的な話なのねこれ。

 

とりあえず店を出てから「店の中で文句を言うのはやめてくれ」と初めて家族に対して注意しましたね。ええ。これが食に関心があるか無いかの差ですよ。これやり直しとかきかない? 遺伝レベルで舌がバカだからさ、「食に興味を持ってニューゲーム」とかできない? 僕の人生の運営アプデ待ってますよ?

 

 

 

こんな感じなので、ついったとかで料理画像上げる人を尊敬してるという話でした。

 

そういや一人暮らしの時もずっとオムライスばっかり食ってたな。

 

偏食も患ってるなこれ。